■登壇者の顔ぶれ、決まる
「コエール2022」でスピーチする若者(イルミネーター)の顔ぶれが決まりました。ワークショップも始まり、7月2日(土)の本番に向け、今年もいよいよスタートです。
全国から20〜30代14人の応募がありました。運営メンバーが、応募者一人ひとりと面談し、最終的に8人の方に登壇いただくことになりました。
2月6日(日)、イルミネーターの顔合わせも兼ね、第1回ワークショップをオンラインで開きました。自己紹介やゲームをしながら、話すことやZOOMの操作にも慣れていきました。
2月11日(金)、イルミネーターを当日まで個別にサポートする社会人(エンパワ)も、オンラインで研修を開催しました。エンパワは、本番に向け、それぞれのイルミネーターに2人ずつが付き添い、「親を頼れない子どもたち」の問題について、どう伝えるか、一緒に考えます。
■「社会問題」って?
3月6日(日)、第2回ワークショップを開きました。イルミネーターとエンパワが初めて顔を合わせる貴重な機会。新型コロナウイルスの感染対策を十分に整えた上で、東京都千代田区の会場に集まり、リアルで開催しました。
この日のテーマは、「広く社会問題を考える」。
今回のワークショップでは、異なる3つの「社会問題」について、当事者の立場から発信を行う3人の方から、それぞれ問題提起をいただき、イルミネーターやエンパワーメントが話し合いました。
「社会的養護」以外の問題に、「当事者」以外の立場から向き合い、考えてもらう狙いです。
3人の方々は、それぞれの問題解決に向け、さまざまな形で社会に向けて発信しています。その体験を通じ、「社会問題を発信すること」の意義や難しさ、課題などについて話を聞き、イルミネーターに、いつもとは逆の「当事者以外」の視点に立って、「自分事として考えてもらう」には何が必要か、意見を交えました。
■「伝える」難しさ、実感
1人目は、三代達也(みよ・たつや)さん。
18歳のころ、バイク事故で首を骨折し、頸髄(けいずい)を損傷。両手両足に麻痺が残り、車いす生活を送ることになりました。会社員時代、一人でハワイを旅行。この体験をきっかけに、ロサンゼルスやオーストラリアに短期移住し、帰国後、車いすで世界一周に挑戦し、約9カ月かけて23カ国42都市余りを回りました。
急なご事情により欠席となってしまったため、三代さんが発信しているYoutube動画を視聴しました。楽しく明るく伝える映像からは、ありがちな「障がいがあって、かわいそう」なんて微塵も感じませんでした。
2人目は、神原由佳(かんばら・ゆか)さん。オンラインで参加しました。
生まれつき髪や肌の色が薄い遺伝子疾患「アルビノ」で、2017年からアルビノや「見た目問題」や「ルッキズム(外見至上主義)」について発信しています。現在は、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持ち、ソーシャルワーカーの仕事をしています。
髪を染めたりせず、当事者の立場から発信するようになって以降、「協調性がない」「自己主張が強い」などと言われ、つらい思いをした経験も。「つらい時には、発信することをやめる、というのも必要。『自分ファースト』でいい」とアドバイスしました。
3人目は、上川多実(かみかわ・たみ)さん。会場で参加しました。
上川さんは、東京で生まれ育った被差別部落出身者です。20歳のころ、部落問題をテーマにドキュメンタリー映画「ふつうの家」を制作。現在は、被差別部落問題について情報発信する「BURAKU HERITAGE」のメンバーとして活動しています。
身を削った発信に対して、的外れな意見を言ってくる人、都合の良い部分だけ切り取る人もいます。「そんな時は、横に立ってくれる人とちゃんとつながっておくことが大切。当事者発信は、やる意義があります。顔を出してやっていると、差別を受けて辛い思いをしている人が連絡をしてきてくれることがあります。やっててよかったと思う」と言います。
この後、「カフェ」のようにリラックスした雰囲気の中、少人数で、ざっくばらんに語り合う「ワールドカフェ」形式で、グループごとに分かれ、語り合いました。
3人の発表は、それぞれ10分。コエール本番の持ち時間(5分)に比べて2倍の長さですが、問題の大きさ・深刻さを考えると、すべてを伝えきれるものではありません。
それでも参加者にとって、今までよく知らなかったそれぞれの「社会問題」について理解を深める機会となった一方、課題解決に向けて議論を重ねていく難しさも感じたようです。今後のワークショップの中で、こうした問題に向き合っていきます。
次回の第3回ワークショップは、3月27日(日)にオンラインで開催します。
「自分たちに関わる社会問題を考える」をテーマに、「社会的養護」の現状や子どもを取り巻く社会問題について掘り下げます。