「児童養護施設って、どんなところ?」。その疑問に応えるため、「コエール2022」(7月2日、オンライン開催)で総合司会を務める俳優の古原靖久さん(35)が、東京都内の2施設を訪ねました。1カ所目は、5歳から18歳まで育ち、建て替えのため取り壊し間近の思い出の施設、2カ所目は、最近大規模改築を終えたばかりの別の施設です。
古原さんは「ヤスくん」の愛称で親しまれ、テレビドラマや、NHK「あさイチ」でリポーターを務め、最近は、児童養護施設での体験をもとに、動画投稿サイト「YouTube」で「社会的養護」の問題について発信しています。
スーパー戦隊シリーズ「炎神戦隊ゴーオンジャー」で、主演の32代目「レッド」を演じましたが、そんな「正義の味方」も、子ども時代は、かなりの「やんちゃ」だったそう。
かつて暮らした施設は、東京・杉並区にある「聖友学園」です。若松弘樹施設長は、古原さんが小学6年生と中学生のころ、担当職員でした。「とにかく弁が立つ、良くも悪くも」と若松さん。「やすひさ」「ワカ」と呼び合う2人は、当時の面影を残す畳部屋であぐらをかき、1時間余り、なつかしい思い出や、児童養護施設のあり方、施設を出た後の「アフターケア制度」などについて、熱く語り合いました。
古原さんは、建て替え工事の準備中で荷物などが仮置きされている建物内を探索。レイアウトの変わった部分があるものの、当時使っていた茶碗や皿などを見つけ、「これ、まだ使ってるんだ!」と歓声を上げたり、あのころと同じように押し入れに入ったりしながら、20年前を思い出していました。
続いて訪れたのは、東京・北区の「星美ホーム」です。
児童養護施設は、かつて一つの大きな建物で大人数が集団生活する「大舎制」が主流でした。最近は、大舎制の建物内をいくつかに区切って小さな集団生活とする「中舎制」、さらには、独立した家屋で少人数で生活する「小舎制」や「グループホーム」へと、小規模かつ地域分散化の流れが進んでいます。
星美ホームは昨年7月末に本体施設の大規模改築が完了し、グループホーム6棟と法人型ファミリーホーム2棟を合わせて総定員100人で新体制がスタートしました。施設運営に携わっている統括主任の平澤和彦さんに、案内いただきました。
6人の女子が生活する「ユニット」は一軒家で、古原さんは、自分の住んでいた施設と全く異なる室内を見学しながら、「僕たちに時代と、全然違いますよ」と驚いた様子。小学生以上は「個室」で、トイレは1・2階にあり、キッチンやバスルームも広々としていました。見学の後、子どもたちとテレビゲームを楽しんだり、夕食のハンバーグを一緒に作って食べたりして交流しました。
古原さんが、昔と今で「養育」に対する考え方が大きく変わった背景について尋ねると、平澤さんは「〝見守る〟〝寄り添う〟という考え方になってきました。大人数だと、なかなか一人一人に目が行き届きませんが、少人数になり、一人一人への支援がしやすくなりました。〝個〟を大切にする環境が大事ですね」と説明しました。
訪問の様子は、映画監督・絵本作家で、ご自身も小学5〜6年生のころ、児童養護施設で生活した経験を持つ西坂來人さんが撮影しました。映像プログラム「古原靖久の児童養護施設訪問」として、「コエール2022」本番当日の第2部で上映する予定です。