■スピーチの「手がかり」を探そう
「コエール2022」の第3回ワークショップが3月27日(日)、オンラインで開かれました。
今回のテーマは、「自分たちに関わる社会問題を考える」。
本番当日にスピーチする若者(イルミネーター)と、個別にサポートしながら発表内容を一緒に考えていく社会人(エンパワ)、そして運営メンバーらが参加しました。
この日の狙いはワークショップを通じ、スピーチのテーマや、それにつながりそうな関心ごとを、発表に向けた「手がかり」として、イルミネーターのみなさんに見つけてもらうことです。
テーマは、4つ。
① 子どものSOS
② 社会的養護とは
③ 「親」を頼れなかったことへの社会の無理解
④ 連鎖、トラウマ
前回に続き、「ワールドカフェ」形式で話し合いました。「カフェ」のようにリラックスした雰囲気の中、少人数で、ざっくばらんに語り合うスタイルで、イルミネーターとエンパワ3〜4人が1グループとなり、それぞれ4つのテーマに取り組みました。
■「勇気のいること」
テーマ「子どものSOS」では、「どうしたら相談できるか」「どう受け止め、解決につなげるか」を中心に、意見を交えました。
「相談しやすい人」として、イルミネーターからは「ほんわかしたオーラを持つ人」「本当の気持ちを出せるような雰囲気が大事」「保健室の先生が話しやすく、いろいろ打ち明けられた」などの意見が出ました。一方で、「誰にでも相談できるわけではない」という難しさも。時には「裏切られそうで、怖い」と不安になることもあるようで、「SOSを出すのは、勇気のいること」という声が相次ぎました。
■「特別視しないで」
テーマ「社会的養護」では、「あまり知られていない」ことに意見が集まりました。
「特別」「別世界」という印象を持つ人も多い中、あるイルミネーターは「『社会的養護の子」ではなく、『ひとりの子』として、その子の背景をちゃんと見てほしい。支援する側・される側でなく、『ひとりの人』としてみてほしい」と訴えました。
メディアなどでは、悪いことが起きた場合に登場することが多く、ネガティブなイメージが持たれがちですが、「コエールのような場を通じて、より現実に即した情報を社会に発信していくべき」と提案するイルミネーターもいました。
■「家族ありきの常識に違和感」
テーマ「『親』を頼れなかったことへの社会の無理解」では、「理解のなさ」が、さまざまな形で問題を深刻化させている現状について、具体的な声が相次ぎました。
「家を借りる時、保障人がいなくて困る」「予防接種に、親権者の同意が必要」「就職の時、保証人が立てられず、入社できない」など。「施設を出た後、未成年で契約するのに誰を頼ればいいのか分からない」という課題にも直面します。
「社会構造が『家族ありき』でつくられている」という指摘も。帰省の時期になると、「実家に帰らないの?」「親御さん、さみしがっているんじゃない?」などと言われることも少なくないようで、イルミネーターの一人は「『親は大切にするもの』というのが、社会の常識みたいに言われることに、違和感がある」と語り、「親」を頼れない状況の子どもがいることについて理解を求めました
■「否定せず、冷静に向き合って」
テーマ「連鎖、トラウマ」では、どう乗り越えていくかについて、意見が交わされました。
「連鎖」では、「断ち切るのは難しい」と「周りのサポートなどで断ち切れる」という意見に分かれました。「『こう育ったら、こうなる』という思い込みがある」ので、短絡的に判断せず、しっかり状況をつかむことが大切だという指摘や、「周りがどう支え、予防していくかが重要」という声もありました。
「トラウマ」では、「(トラウマにある自分を)否定せず、まずは認めることが大切」「トラウマは、異常な状況に置かれた人が、(自分を守るための)正常な体の反応なんだよ、ということを伝えれば、『認める』ことにつながるのでは」などの意見が出ました。
■次回は「チーム」結成
次回の第4回ワークショップは、4月17日(日)にオンラインで開催します。
いよいよ、本番まで活動を共にするイルミネーターとエンパワのチームメンバーが決まり、一緒にスピーチ原稿の作成に着手します。