銀行口座、契約など、未成年が社会と繋がろうとする際には通常は保護者がサイン・捺印しています。では、保護者に頼れない事情がある子どもたちは、どうすればよいのでしょうか。
大人は日々子どもに宿題をしなさいと言いがちですが、渦中の子どもから大人に出された宿題、あなたは解きますか、解けますか。
“第2問
以下の状況で、私がクラスで疎外されない合法的な方法を答えよ。
①私以外のクラスメイトは全員自分の携帯電話で連絡し合っている
②事情があり親とは一緒に暮らしておらず、連絡も取れない。
なお、私はアルバイトをしており、携帯電話料金を支払うことはできる。(高2)”
黒田邦夫さんという大人は、こんなふうに解きました。
【解説】
かつて、児童養護施設で生活する子どもたちは、保証人が“親”ではないことを理由に携帯電話の契約を断られていました。親と一切連絡を取れない子どもは、施設長が保護者を代行せざるを得ないにもかかわらず、複数の携帯電話会社は「保護者」を実親のみに限定していたのです。
2010年、児童養護施設の高校生が契約を断られると、施設長だった黒田さんが立ち上がります。携帯電話会社の担当者に事情を説明、要望書も提出しましたが、認められませんでした。そこで、新聞社等のマスメディアにこの不条理を訴えると、朝日新聞が記事として取り上げてくれました。すると、ワイドショーで取り上げられたり、インターネットで広く拡散されたり、見ず知らずの方が携帯電話会社に抗議してくれたり、議員が民法改正に動いてくれたりと、様々な応援が広がったのです。この動きを受けて、携帯電話会社はルールを変更。児童養護施設で生活する子どもたちでも、施設長を保護者の代理とすることで携帯電話の契約ができるようになりました。
【黒田さんの取り組みのポイント】
・子どもに不条理を我慢させなかった
・携帯電話会社がダメでもあきらめず、マスメディアに訴えた。
・多くの人が現状を理解・共感しやすい伝え方をした
積み残されている宿題を、みんなの力で終わらせる。
子どもからの宿題を解かない大人たちは確かに多いけれど、だからといってあきらめたくない。この夏、あきらめない子どもと、あきらめない大人が集います。
大人が解かない宿題を出す子どもたちと、
解く方法を考える大人が集う!
コエール 2021
日時:2021年7月3日(土)13:30開演
場所:オンライン配信
人知れず苦しんでいる子どもたちに光をあて、その問題を解決するために、すでに行動を起こしている人、行動を起こし始めた人と一緒に考え、アクションを起こすイベントです。
/黒田邦夫さんからの解答例