2021年7月3日(土)に親を頼れない若者によるスピーチイベントを行いました。その一部を紹介し、社会的な背景とともに振り返ります。
みーたん/10代/女性
父は母に暴力をふるい、母は精神的に病んでいる。そんな家庭に居場所がないと感じた私は家出をし、14歳の秋、児童自立支援施設に入所しました。そこでは私の話を聞いてくれ、可能性を信じて勉強を教えてくれるおとなに出会うことができましたが、中学卒業と同時に退所となり、その後は里親を2つ回ることになりました。最初の里親さんは宗教に熱心でなじめず、2つ目の里親さんは「今日から家族だよ」と優しく迎えてくれましたが、家族としての関係をどう築いていいかわからず、16歳でまた家出をしてしまいました。いったん実母のところに戻りましたが、病んでいる母は私に「死ね」「お前がいるからうまくいかない」などと暴言を吐きます。当時の私は、どこに行ってもうまくなじめない自分に自信をなくしていました。
政府は「施設から家庭へ」のスローガンのもと、親と暮らせない子どもたちがなるべく家庭的な環境で過ごすことができるよう、児童養護施設中心から里親中心への転換を図っています。ですが、里親のなり手が不足していることに加え、里親への研修やフォロー体制の不足、里親と子どものマッチングの難しさなど、課題は山積しています。
また、施設では職員が複数いるため、少しくらい合わない職員がいても他に合う職員がいればやっていけますが、里親では一対一の関係になるため、気持ちがすれ違った時の逃げ場がありません。そうした中で信頼関係を築いていくには、おとなの側があせらず時間をかけて子どもに接していくことが大切ですし、里親と子どもの双方が、気軽に第三者に相談できるような支援の仕組みを整えることも望まれます。
今は自立援助ホームで2年暮らし、バイトしながら通信高校に通い、夜は大学に向けて塾で勉強しています。ホームは大学生になってもいていいよと言ってくれます。やっと見つけた私の居場所です。
また、中学の時の施設の職員さんは、悩んだ時に「君は大丈夫。今までの道のりは胸を張っていいと思うよ」と言ってくれ、今もご飯に誘ってくれます。バイト先の仲間は、親の相談に乗ってくれたり、大学のお金が貯まった時は一緒に喜んでくれました。2つ目の里親さんは、19歳の誕生日を祝ってくれてうれしかったです。
子どもは受け入れてもらえて初めて、おとなに心を開きます。だから、自分が受け入れられていると子どもが感じられるまで、関係を長く続けようと思ってくれるとうれしいです。離れていても、気にかけてくれるだけでいいんです。それだけで、明日からまた頑張ろうとエネルギーが湧きます。